Wednesday 1 June 2016

窓の外

ジャカルタで仕事仲間にあった。次の現場はベルギーだという。ずいぶんジャンプするね、と言ったら、あなたもそうでしょう、と、そう言われてみれば私も次の現場はスペインだった。
私はいつも私と一緒にいるので、つまり私はずっとここにいる。だから自分ではあんまりどこか遠い町に行くようには思っていなかった。
私がここにいなくてもここはあり続ける証拠は、私以外のすべてのものに透明に存在している。それがあるから私たちはどこにでもいける。
移動して1日目がいちばん今でも好きだ。移動しているときよりも、到着しているけれど、移動は完了していないとき。
バンコクに帰ってきたら、その前までからっからだったのに、雨が降って涼しくなっていた。部屋の窓の外に響く音は早朝のクルアーンの声から昼間のスコールの雨音に変わっている。 
夏バテがひと月つづいてすっかり何にも食べれなくなっていたわたしは、あしたは炭水化物を昼から食べれそうだ、と、ベッドを反対づかいしながら大仰な雨を眺めている。